何度も「目的」に立ち返る(2)


3.目的とは何か


◼︎目的とは得たいもの

目的とはショップを行う場合はショップから「得ようとする狙い」です。ビジネスを行う結果「なりたい状態」です。

 

目的は具体策の判断基準になります。目的は「なりたい状態」なので自分のビジネスに対する「価値観の表れ」だからです。

ビジネスは目的を明確にすると具体策の方向が見えてきます。目的は計画の行き先を示し、何をすればいいかを教えます。


 

◼︎目的はショップ計画の起点

ショップ計画のための起点になるのが目的の明確化です。図表2がショップ計画の作業の流れです。今回は目的以外の項目には詳しく触れませんが、図表は他の作業項目が目的を実現するためにあることを示しています。同時に、目的は他の作業項目を判断する基準になっていることを示しています。

 

ただし実際の作業では、具体策に進んでから目的の検討が不十分だったことに気が付き、目的の見直しが行われることもあります。商品を検討しているうちに自分のやりたいことに疑問が生じるなどは多々あることです。その時は起点に戻って目的の再検討をすべきです。

4.明確な目的が必要


◼︎目的によって行動が異なる

「頭の体操」で息子の目的は何でしょうか。親の全財産を得るのが目的ならば、親が希望する競争をする必要はあるでしょう。しかし幸せになるのが目的ならば、命がけの競争をする必要はないかも知れません。

ビジネス計画に明確な目的が必要な理由は、目的によって具体的行動が変わるからです。

 


◼︎開業の目的によって展開は変わる

ショップを開業する目的はいろいろです。生活に必要な収入を得たい。海外旅行が趣味で、そこで手に入れたものを紹介したい。退職後自分の夢を実現したい。

 

同じショップの開業でも目的によって、具体的な展開は異なります。生活費を稼ぐためなら、売上げを伸ばせる立地条件が重要になるかも知れません。趣味を生かすのなら立地はプライドが保てる場所や自宅を生かした「お家ショップ」なども考えられます。夢を実現する店なら夢にふさわしい立地があるはずです。

 

自分が何のためにショップをしたいのか、自分に正直に、自分に客観的に語りかけることが大切です。目的が明確になることで計画の方向が決まります。

 

 

◼︎きっかけと目的を区別する

ショップをはじめるきっかけと目的は同じでしょうか。同じ人もあり、異なる人もあるでしょう。しかし、きっかけと目的を分けて考えた方がビジネスの可能性が高まります。図表3を参考にしてください。

 

「頭の体操」では競争のきっかけは、全財産をどちらの息子に譲るか決める父の指示です。しかし何のために全財産を得る競争をするのかで、勝負の仕方は変わるかも知れません。生きて帰り幸せになるのを最優先の目的にするのか、命をかけても財産を手に入れることを目的にするのか、単に父の指示に従うのかで、勝負に対する姿勢が変わります。もっといえば競争に参加しないという選択もあるはずです。

 

例えば行きつけのカフェの雰囲気が好きで、自分もそのような店が持ちたいと思っていた。そこに定年退職した友人が独立すると聞いて、自分も開業を決意した。ショップを開くきっかけはさまざまでしょう。

 

「雰囲気のいいカフェをやる」目的は何でしょうか。きっかけと区別して、改めて考えてみたいものです。きっかけとはスタート地点です。改めて考えることで目的の見方が変わり、ビジネスの具体策の可能性が広がります。きっかけから目的への進化が必要な気がします。