何度も「目的」に立ち返る(5)


8.目的の階層性と多様性①


◼︎目的は階層構造をもつ

また「頭の体操」の内容で考えます。図表5を参考にしてください。

 

  ①二人の息子が馬の競争に参加します。

  ②参加するその目的は、馬の競争に勝つことです。

  ③競争に勝つその目的は、全財産を得ることです。

  ④全財産を得るその目的は、欲しいものを手に入れること、と想定します。

  ⑤欲しいものを手に入れるその目的は、幸せを得ること、と想定します。

目的には目的の目的があり、目的は階層になっています。「頭の体操」の例では分かりやすくするため簡単に5層にしました。しかし深く考えると階層の間にはもっと細かい目的の目的があると思われます。実務では出来るだけ細かく階層をつくり、階層間に飛躍がないようにします。その上で、現実に行動するにはどの階層を直接の目的にするのが効果的かを考えます。

 

具体的な行動は上位の階層に反する行動はとれません。「幸せを得る」が上位にあると、死んでも負けないなどの行動はとらないことになります。目的の階層をよく見ることで、具体策を立案する自由さが広がります。上位の目的を達成する手段としては、下位の目的に縛られる必要はない場合もあるからです。

 

例えば「欲しいものを手に入れる」ためなら、「全財産を得る」ことがなくてもいいかも知れません。兄弟同士の取引で、どちらかに勝ちを譲り、速く競争を終え、財産を分ければいいことです。

 

「雰囲気のいいカフェをやる」目的は何でしょうか。たとえば「雰囲気のいい場を自分でつくる」のが上位の目的だとします。そうであれば、カフェである必要はあるのでしょうか。「カフェのカウンターにいる」が上位目的ならカフェが必要でしょう。しかし、カフェが上位目標でないなら、雑貨屋さんの方がいいかも知れません。ペンションの方がいいかも知れません。目的階層が明確になることで考えの幅が広がります。