客数×客単価を伸ばすには、ショップコンセプトによるコントロールが大切。
場当り的ではない、コンセプト志向の売上高向上を考えます。
1.売上高を伸ばしたい
①焦らず、効果的に
売上高が悪化しているという声を多く聞くようになりました。
店長は対応に迫られています。
ディスカウントセールのDMを出す、看板を変える、どれも適切に使うと効果があるかも知
れません。しかし焦って場当り的に行うと、逆効果になりかねません。
経済状況が厳しい今こそ基本に返り、効果的な打開策を考えたいと思います。
②課題、手段、イメージのミスマッチ
アパレルのA店がありました。高額所得の女性に訴える可愛いくて上品なファッションの店
です。売上高低迷を打開するため店長は看板を買いました。居酒屋などで設置しているビー
ルジョッキの絵が出たりするタイプの電光式看板です。
この判断は適切でしょうか。このショップは顧客と信頼関係を築き、じっくりとお客様のラ
イフスタイルを把握して高額品を売る店です。ミーティングで低迷脱出の課題としたのは、
固定客の掘り起こしでした。看板の導入は、課題と手段にズレがありそうです。
通りがかりの人の注意を引くことは大切ですが、信頼、上品、じっくりというショップイメ
ージを崩さないでしょうか。
電光動画が表現するイメージとの間にもギャップがありそうです。
③コンセプトと売上高
売上高を伸ばすには、場当り的なアイデアではなく、全体的の視点で解決策を立案する必要
があります。ショップ全体の方向を示し管理基準になるのがショップコンセプトです。いわ
ばコンセプトはショップの憲法です。
コンセプトは売上高には関係ないのではないか、という質問を受けることがあります。その
答えとして、客数×客単価で示す売上高の式とコンセプトの関係から販売促進策を立てる考
え方をまとめました。
一つずつはよく知られている内容ですが、改めてコンセプトとの関係で考えることで売上高
向上のヒントになれば、と願っています。
2.売上高の生まれる構造
図1を参照してください。
①売上高の中味
売上高は買上客数×客単価で表せます。
大勢のお客様が買い、一人ずつがお金を多く払うと売上高が伸びることが分かります。
買上客数は入店客数×買上率で表せます。お客様が大勢来て、かつ買う率が高いと買上客数
が伸びます。
客単価は1人当り買上点数×買上商品平均単価で表せます。一人ずつが多く買った上に高額
品が多ければ客単価は伸びます。
②売上高の展開式
まとめると売上高は入店客数×買上率×1人当り買上点数×買上商品平均単価となります。
右辺が伸びれば売上高は伸びます。4項目の管理が売上高を管理することになります。
3.売上高をつくる計算式の性質
①悲しい掛け算式
掛け算は掛ける数が両方とも大きいと答えも大きくなります。
100×100=10,000
しかし片方の数がいくら大きくても、一方の数が小さいと答えは小さくなりなす。
1,000×1=1,000
片方が0になると、一方が大きい数でも答えは0です。
100,000×0=0
両方がんばらないと、答えの数は伸びません。掛け算は悲しい性格を持っています。
例えば買上客数が伸びても、客単価が落ち込むと売上高は伸びません。
売上高は買上客数も客単価も両方伸ばす必要があります。
②苦しい売上高の式
売上高=買上客数×客単価
買上客数を増やすために色々な人に勧めると、お試しで一個買う人や低額商品を買う人が増
え、客単価が下がる場合があります。
客単価を上げるために商品価格を上げると、買わないお客様が増えて買上客数が減少する場
合があります。
買上客数=入店客数×買上率
入店客数を増やすために呼び込みに力を入れると、購入意欲もなく入店するお客様が増え、
買上率が落ちる場合があります。買上率を上げようとして商品をお勧めすると、敬遠して入
店客数が減る場合があります。
客単価=1人当り買上点数×買上商品平均単価
一人のお客様に多く買ってもらおうとすると、低額商品も含まれ平均単価が下がる場合が
あります。買上商品平均単価を上げようと商品単価を上げると、多く買わない人が増え、
買上点数が減る場合があります。
売上高の式は、どれかに力を入れるとどれかが落ちる危険性を秘めているようです。
しかし、掛け算式はどれも伸ばさないと答えの数が小さくなるのでした。
入店客数も、買上率も、1人当り買上点数も、買上商品平均単価も伸ばせと、上司の檄が飛
びます。檄を飛ばされても、どれかを伸ばすとどれかが落ちるのでは効果がありません。
売上高の式は苦しい式です。
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